Wellness Aileで実現を目指す
日清食品のWell-being向上(前編)
日清食品株式会社
Well-being推進部 Well-being企画室
室長箕原毅 氏
主任中橋悠 氏
「チキンラーメン」や「カップヌードル」で知られる日清食品グループは、「全従業員の健康維持と能力の最大限の発揮」を重要な経営課題として位置づけ、2018年に「日清食品グループ健康経営宣言」を策定した。2022年にグループの中核事業会社である日清食品株式会社内に「Well-being推進部」が設立され、Apple Watchを活用した新たな施策が進められている。その狙いと、健康サポートアプリ「Wellness Aile」を導入した理由について、Well-being企画室室長の箕原毅氏と主任の中橋悠氏に話を伺った。

事業を加速させる“3つのHappy”

――日清食品の社内にWell-being企画室が設立された経緯について教えてください。
箕原:人や社会に役立つことは何かを考え続け、人々の食を満たすことで社会に貢献し続けた創業者の理念のもと、日清食品グループは、その思いを受け継ぎ、社会課題の解決に力を入れています。創業者の安藤百福が掲げた「美健賢食」の理念に基づいて、すべての社員が心身の健康を保持・増進し、能力を最大限に発揮しながら業務にあたることを経営の最重要課題のひとつとして位置付けています。2018年8月には「日清食品グループ健康経営宣言」を策定し、健康経営を戦略的に推進しています。2022年4月にはグループの中核事業会社である日清食品において、社員の「カラダの健康」「ココロの健康」「成長実感」という“3つのHappy”を実現するための組織としてWell-being推進部が設立されました。
――これまでの健康経営に対する取り組みとは何か違う点があるのでしょうか。
従業員のWell-beingというものは、単に疾病がないだけでなく、身体の健康、心の健康、そして社会的な充足感も重視されます。これら3つの要素が充実した状態で働ける環境をつくることがWell-being推進部のミッションであり、事業の成果、成長に繋げることを目指しています。
――Well-being向上のためにApple Watchを活用しようと考えたきっかけは何ですか。
弊社は全国各地の拠点に多くの社員を抱えており、オフィス勤務の社員にはiPhoneが貸与されています。このiPhoneに日々の活動量やその他のヘルスケア情報を集約するために、Apple Watchが最適だと考えました。また、心拍数や心電図を測定するためのセンサー精度の高さや、ヘルスケア情報のデータ管理の安全性もApple Watchを選ぶ重要な理由となりました。
運動の習慣化を促す「Wellness Aile」を導入

――Apple Watchの貸与状況について教えてください。
中橋:2023年12月時点で、グループ全体で約700名がApple Watchを利用しています。
箕原:Apple Watchの貸与を進めるにあたり、Well-being推進部が展開する「健康増進プログラム」への参加を条件としました。
――ヘルスケア情報を会社と共有することに対する社員の抵抗感はありませんでしたか。
確かにそのようなご意見をいただくこともありますが、施策の目的をしっかりと伝えることで、その不安は解消できると考えています。目的は、我々がデータを管理することではなく、社員一人ひとりのセルフマネジメントに役立てていくことです。健康増進、さらには仕事のパフォーマンス向上へと繋げられるようにプログラムを充実させていきたいと考えています。
――健康増進プログラムではApple Watchをどのように活用していますか。
取り組みをスタートして、早速効果が出ているのは、運動の習慣化です。
――具体的にどのようなアプリを導入しましたか。
箕原:運動の習慣化のために、Wellness Aileを導入しました。
――Wellness Aileアプリの第一印象を教えてください。
中橋:Wellness Aileは、Apple Watchを着用するだけで、歩行や立ち上がりなど日常の活動が分かりやすく表示される点が魅力的です。運動の重要性は理解していても、何かのきっかけがなければ行動に移しにくいものですが、私の場合、普段の運動不足に気づかされることになりました。

ゲーム化とインセンティブで運動量を増やす

――社員の運動量を増やすために導入されたWellness Aileについて、どの点が優れていると感じましたか。
箕原:Apple Watchから得られる活動量の情報として、カロリー消費量、1分以上立って歩いた回数、早歩きなどの運動時間があります。Wellness Aileは、これらの情報をシンプルでわかりやすく可視化できる点とゲーム感覚で楽しみながら運動に取り組めるところが良いです。また、運動を継続してもらうためのインセンティブの仕組みは社員にも好評です。
――貴社ではどのようなインセンティブを設けていますか。
箕原:日々の運動量の目標を達成することでコイン(社内通貨)を貯められます。獲得したコインをインセンティブ(ギフトカード)と交換することができます。現在は、コイン交換のメニューを増やし、社会貢献に繋がる寄付をメニューとして加えました。国連WFP(世界食糧計画)への寄付も選択できる仕組みになっています。
――グループごとの目標設定などの機能は利用されているのでしょうか。
中橋:基本的には各部署単位でチームを組んでいます。同じチームのメンバー間では運動量の記録が共有され、誰がどれだけ活動しているかが把握できます。また、部署を横断し、年代別にチーム分けをするイベントも実施しています。これらの取り組みで社内のネットワークが広がり、中途で入社したメンバーも含めてコミュニケーションの活性化を実感しています。

「チキンラーメン」や「カップヌードル」などの主要製品をはじめとする即席麺の製造および販売を行う日清食品グループの中核を担う事業会社。2023年にグループ企業とともに、経済産業省と日本健康会議から戦略的な健康経営への取り組みが評価され、「健康経営優良法人2023(ホワイト500)」を5年連続で認定された。