#03

Wellness Aileで実現を目指す
日清食品のWell-being向上(後編)

日清食品株式会社

Well-being推進部 Well-being企画室

室長箕原毅 氏

主任中橋悠 氏

「チキンラーメン」や「カップヌードル」で知られる日清食品グループは、「全従業員の健康維持と能力の最大限の発揮」を重要な経営課題として位置づけ、2018年に「日清食品グループ健康経営宣言」を策定した。2022年にグループの中核事業会社である日清食品株式会社内に「Well-being推進部」が設立され、Apple Watchを活用した新たな施策が進められている。その狙いと、健康サポートアプリ「Wellness Aile」を導入した理由について、Well-being企画室室長の箕原毅氏と主任の中橋悠氏に話を伺った。

運動の習慣化から生産性の向上へと繋げていく

管理者は、社員のアプリ起動回数や運動量の平均値などをダッシュボード画面で確認できる。取得データをエクスポートすることで社内独自に分析し、Well-being経営に役立てることが可能だ。

――Welness Aileの導入後に実施した運動量を増やすイベントについて教えてください。

箕原:Apple Watchを着けることで日々の運動量が可視化され、社員の健康に対する意識向上の成果を確認できる環境が整いました。そして、ここから運動の習慣化というプログラムの目的を目指すために期間限定のイベントを実施し、その前後で運動量の変化を測定しました。

――測定の結果はいかがでしたか。

箕原:イベントの期間は2週間でしたが、運動目標の達成度を示すアクティビティリングの完成数や1日あたりの消費カロリー数がイベント前と比べて全体で30%ほど増加しています。

――2週間で平均3割の上昇は素晴らしいですね!

箕原:運動量が顕著に増えていることはもちろんですが、他にも注目すべき結果がありました。例えば、イベント前に1日の平均消費カロリー数が最も少なかった3人の活動量についてですが、イベント期間中の運動量が3~5倍に増加しています。このことから、元々ある程度の運動習慣がある社員だけではなく、運動習慣がない層にもポジティブな変化が見られることを示しています。チームの仲間と一緒に取り組める点がモチベーションの向上に寄与しているのでしょう。

――運動習慣化プログラムに参加した社員の反応はどうでしたか。

箕原:アンケート調査によると、「運動習慣が身についた」「アクティビティリングを完成させることがモチベーションにつながる」といったコメントが多く寄せられました。ここからもApple WatchとWellness Aileが運動習慣化に貢献していることが分かります。実際に、プログラム参加者の約70%が日常生活や自身の健康状態にポジティブな変化を感じていると回答しました。

――普段の業務への影響はどうでしょうか。

箕原:アンケート結果では、約30%の社員が仕事への良い影響があったことを報告しています。具体的には「集中力の向上」「アイデアが浮かぶ」「モチベーションが上がる」「生活にメリハリが生まれる」といった内容です。また、「部内のコミュニケーションにつながっている」というコメントもありました。

日清食品のWell-being施策の今後とアツラエとの取り組み

日清食品株式会社 Well-being推進部 Well-being企画室の箕原毅室長と中橋悠主任。「高い成果からウェルネスが生まれるのではなく、ウェルネスの実現が高い成果を生み出すと考えます」。

――Well-beingの3つの要素の一つとして「成長実感」を挙げていましたが、運動量の増加が業務への好影響を与えているようですね。

箕原:そうですね。今後は運動量の変化とワークエンゲージメントなど、各種データとの関係を詳細に分析していきます。Well-being経営の成果を数字で定量的に捉えることを目指しています。

――Wellness Aileの開発元であるアツラエの印象はいかがでしょう。今後の展望について教えてください。

箕原:アツラエ社とはWellness Aileをきっかけに、さまざまな接点が生まれました。細かな機能面での要望にも迅速に対応いただいているので、これからの取り組みにもご協力いただけると期待しています。これからの課題としては、Apple Watchを利用したWell-being推進施策に参加する社員が増えた場合に備え、部署異動や組織改変があった際の情報連携などをよりスムーズにしていく必要性があると思います。今後はこうしたシステム面も含めた要望についても積極的にリクエストしていきたいと考えています。アツラエはアプリ開発だけでなくクリエイティブと一体化したコンサルティングのノウハウもお持ちなので、Wellness Aileに限らずWell-being施策全体のサポートをお願いできるのではないかと思います。

中橋:現在のApple Watchは運動量の測定が中心というイメージが定着しています。今後は、マインドフルネスや心の健康を測定する機能のさらなる充実を期待していて、より広い意味でのWell-beingをWellness Aileで確かめられるようになるといいなと思っています。

――最後となりましたが、日清食品のWell-beingの取り組みについて今後の展望を教えてください。

箕原:まずは、Well-being施策の最初のステップとして、Wellness Aileなどから得られたデータによって検証されたエビデンスに基づいて、画期的でおもしろいチャレンジに取り組む社員を増やし、事業の成果、成長に貢献することが今後の目標です。

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日清食品株式会社

「チキンラーメン」や「カップヌードル」などの主要製品をはじめとする即席麺の製造および販売を行う日清食品グループの中核を担う事業会社。2023年にグループ企業とともに、経済産業省と日本健康会議から戦略的な健康経営への取り組みが評価され、「健康経営優良法人2023(ホワイト500)」を5年連続で認定された。